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読書メモ『シンギュラリティは近い』レイ・カーツワイル

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人工知能 (AI) が人類を上回り、この世のあり方が一変するシンギュラリティ(技術的特異点)。 人工知能の世界的権威であり、Google で AI 開発の先頭に立つレイ・カーツワイルが、シンギュラリティはなぜ間近だと断言できるのか、シンギュラリティに到達すると何が起こるのかを解説しています。

  • シンギュラリティとは何か?
    • テクノロジーが急速に変化し、それにより甚大な影響がもたらされ、人間の生活が後戻りできないほどに変容してしまうような、来るべき未来。
    • 人生の意味を考えるうえでよりどころとしている概念が、このとき、すっかり変容してしまう。
  • 数学者は「特異点(シンギュラリティ)」という言葉を、有限の限界を超える値を表すものとしてこの言葉を用いた。
  • シンギュラリティ以降の世界では、人間と機械、物理的な現実と拡張現実(VR) との間には区別が存在しない
  • 生物の進化と人間のテクノロジーの進化は継続的に加速している。
  • ほとんどの人は未来を線形的に見ている。短期的に達成できることは必要以上に高く見積もるのに(細部の必要条件を見落とす)、長期的に達成されることを必要以上に低く見積もってしまう(指数関数的な成長に気づかない)。
  • 将来的にはナノテクノロジーを用いてナノボットを設計することができる。これにより、加齢を逆行させることも可能になる。脳の毛細血管に数十億個のナノボットを送り込み、人間の知能を大幅に高めることができる。ナノボットは、過去の工業社会が引き起こした汚染を逆転させ、環境を改善する。フォグレットと呼ばれるナノボットは、モーフィング技術を使って作成した VR を現実世界に出現させる。
  • 最後には、宇宙全体にわれわれの知能が飽和する。これが宇宙の運命なのだ。
  • 五感すべてを組み込んだ完全没入型の VR 環境は、2020年代の終わりには実際に手に入ることになる。
  • スーパーコンピュータが人間の脳の性能に達し、2020年頃までにパソコンもそこに達する。▼著者のこの予想はさすがに外れそう。ちなみに、原書は13年以上も前の2005年に書かれています。
  • ムーアの法則をはじめとする個別のパラダイムは、最終的に、指数関数的成長がそれ以上不可能な水準に必ず到達する。ところが、コンピュータの伸びは、基盤となるパラダイムを次々と取り替え、当面のところ、現行の指数関数的成長が持続する。パラダイムシフトによって、あらゆる個別のパラダイムの S 字曲線は、次なる指数関数曲線へと変わっていく
  • ナノコンピューティングによって強力な水準の知能が生まれるので、もしもピコやフェムトのコンピューティングが可能だとしたら、将来の知能がそのために必要なプロセスを見出してくれるだろう。
  • 人間の脳は、超並列処理を用いて、微妙なパターンをすばやく認識する。だが、人間の思考速度は非常に遅い。基本的なニューロン処理は、現在の電子回路よりも、数百万倍も遅い。
  • 人間のニューロンはすばらしい創造物だが、これと同じ遅い手法を用いてコンピューティング回路を設計したりはしない。自然淘汰を通じて進化してきた設計は確かに精巧だが、われわれの技術で作り出せるものよりも、何桁もの規模で能力が劣る。
  • 人間のニューロンにある複雑さのほとんどは、情報処理ではなく、生命維持機能を支えるために使われている。
  • 非生物的なコンピューティングを利用して、人間の知能を拡大し利用することで、われわれは最終的に知能のパワーを増大させることになる。よって、コンピューティングの最終的な限界について考えることは、実際には、われわれの文明はどういう運命をたどるのか、と問うているのと同じことなのだ。
  • シンギュラリティ─人間の能力が根底から覆り変容するとき─は、2045年に到来すると考えている。
  • デジタルのコンピューティングはアナログのコンピューティングと機能的に同等だということを、念頭に置いておかねばならない。つまり、デジタルとアナログが混じり合ったネットワークの機能のすべてを、デジタルだけのコンピュータで実行することができるのだ。この逆は真ではない。デジタルコンピュータの機能のすべてをアナログコンピュータでシミュレートすることはできない。
  • 脳が従来のコンピュータと異なる重要な点がたくさんある。
    • 脳の回路はとても遅い。
    • それでも脳は超並列処理ができる。
    • 脳はアナログとデジタルの現象を併用する。脳のほとんどの昨日はアナログで、非線形性にあふれている(出力が突然切り替わる)。
    • 脳は自身で配線し直す。
    • 脳の細部のほとんどはランダムだ。
    • 脳は創発的な特性を用いる。
    • 脳は不完全である。
    • われわれは、矛盾している。
    • 脳は進化を利用する。
    • パターンが大切だ。
    • 脳はホログラフィ的だ。
    • 脳は深く絡み合っている。
    • 脳には、各領域をまとめるアーキテクチャがある。
    • 脳の各領域の設計は、ニューロンの設計よりも単純だ。
  • われわれの思考プロセスは、われわれ自身を理解することが本質的に可能なのかどうか、と疑いをもつ者がたくさんいた。精神科医のピーター・D・クレイマーは「精神が、われわれに理解できるほど単純だとすれば、われわれはあまりにも単純すぎて、精神を理解することはかなわないことになる」と書いている。
  • 人間の知能は、「自己理解」に必要とされる閾値より上なのか下なのか、というダグラス・ホフスタッターの疑問に答えて言うならば、脳のリバースエンジニアリングが加速度的に進展する中で、われわれが自分自身を理解する能力には限界などない。
  • バージョン 1.0 の虚弱な人体は、はるかに丈夫で有能なバージョン 2.0 へと変化するだろう。何十億ものナノボットが血流に乗って体内や脳内をかけめぐるようになる。体内で、それらは病原体を破壊し、DNA エラーを修復し、毒素を排除し、他にも健康増進につながる多くの仕事をやってのける。その結果、われわれは老化することなく永遠に生きられるようになるはずだ。
  • 人体2.0: 2030年代の初頭、われわれはどうなっているだろう。心臓、肺、赤血球、白血球、血小板、膵臓、甲状腺他すべての内分泌器官、腎臓、膀胱、肝臓、食道下部、胃、小腸、大腸などはすでに取り除かれている。この時点で残っているのは、骨格、皮膚、生殖器、感覚器官、口と食道上部、そして脳だ。
  • 人体3.0: 2030年代から2040年代。MNT(マイクロ・ナノテクノロジー)ベースの構造を体内に組み入れることによって、身体的特徴を好きなようにすぐ変えられるようになる。
  • 「VR 環境デザイナー」という新しい職種が生まれ、新しい芸術の形となる。2020年までに、完全没入型の視聴覚ヴァーチャル環境の中で体をすばやく変化させられるようになるだろう。そして2020年代にはあらゆる感覚と結びついた完全没入型のVR環境の中で変身できるようになる。そして2040年代には現実世界でそれが可能になる。
  • 人間の平均寿命は今後もどんどん伸びていく。
    • クロマニョン人: 18歳
    • 古代エジプト: 25歳
    • 1400年ヨーロッパ: 30歳
    • 1800年ヨーロッパおよびアメリカ合衆国: 37歳
    • 1900年アメリカ合衆国: 48歳
    • 2002年アメリカ合衆国: 78歳
    • 病気の50%を予防すれば: 150歳
    • 病気の90%を予防すれば: 500歳
    • 病気の99%を予防すれば: 1000歳
  • そもそも種とは生物学の概念であり、われわれがしようとしているのは、生物学を超越することなのだ。シンギュラリティの根底にある転換は、生物進化の歩みを一歩進めるだけのものではない。
  • 未来の機械は、感情や精神を宿すことができるのだろうか?─もっとも説得力のあるシナリオは、人間そのものが徐々に、しかし確実に、生体から非生物的な存在へと変わっていくと言うものだ。
  • 意識の実在を決定的に裏づける客観的な検証法は、ひとつとして存在しない。

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