Null 合体演算子 (??)
ES2020 で Null 合体演算子 (Nullish Coalescing Operator) の ??
が導入されました。
undefined
あるいは null
」を示します。
coalescing には、「癒合、合体」という意味があります。
よって、nullish coalescing は、「null っぽかったら合体させるよ」という意味になります。??
演算子を使うと、ある変数の値が undefined
(あるいは null
)だったときの代替となる値を指定することができます。
つまり、
は、次のように記述するのと同等です。
下記は、??
演算子の振る舞いの一覧です。
??
演算子はあくまで undefined
と null
だけを判別するものであって、左側に偽となる値(false
や空文字)をおいた場合は、その値がそのまま使われることに注意してください。
Nullish Coaescing Operator は、省略可能なプロパティを持つオブジェクトを参照するときに便利です。
次の dumpPoint
関数は、渡された Enemy
オブジェクトの point
プロパティの値をしますが、この値が未設定の場合はデフォルト値の 100 を表示します。
従来はこのような処理のために短絡演算子 (||
) がよく使われていましたが、下記のように偽値となる値(0 や false
)がうまく扱えないという問題がありました。
今後は、??
を使えば OK です。
デフォルト値に関しては、次のように分割代入時に設定する方法も健在です。 用途によって使い分けましょう。
オプショナルチェイニング演算子 (?.)
ES2020 では、オプショナルチェイニング演算子 (Optional Chaining Operator) の ?.
も導入されています。
これは、undefined
(あるいは null
)であるかもしれないオブジェクトのプロパティを参照するときに使用します。
とすると、オブジェクト A
が undefined
(あるいは null
)の場合に undefined
になり、それ以外の場合に A
のプロパティ foo
が参照されます。
つまり、上記は下記と同様です。
下記は Optional Chaining の具体的な使用例です。
User
オブジェクトは入れ子の形で Address
オブジェクトを保持することができますが、そのための address
プロパティは省略可能なものとして定義されています。
このように、入れ子になったオブジェクトのプロパティを参照するケースで、Optional Chaining は威力を発揮します。
ポイントは次の部分で、Optional Chaining (?.
) と、前述の Nullish Coalescing (??
) を組み合わせて使っています。
user.address
に Address
オブジェクトが設定されている場合は city
プロパティを参照し、user.address
が設定されていない場合(undefined
のとき)は、代わりに UNKNOWN_CITY
という値を使うようにしています。
単純に user.address.city
と繋げて書くと、user.address
が undefined
のときに不正な参照になってしまいます。
このイディオムは、オブジェクトの入れ子構造がもっと深い場合でもうまく機能します。
また、ある関数型プロパティが設定されている場合だけ呼び出したいときは次のように記述できます。