何をするか?
ここでは、Firebase を Next.js (React) ウェブアプリから使用するための準備 として、「Firebase プロジェクトの作成」「Next.js アプリの作成」「FirebaseApp
インスタンスの初期化」までを行います。
なお、ここでは Firebase JS SDK ver.9 以降を対象とします(ver.8 以前は初期化方法が若干異なります)。
Firebase サービスを使うと、Web アプリやモバイルアプリに必要なバックエンド環境を簡単に整えることができます。 例えば、Firebase は次のような機能を提供しており、小規模のアプリであれば無料の Spark プランで動かすことができます(参考: Firebase の料金プラン)。
- Firebase Authentication … ユーザー管理と認証(ログイン UI もある)
- Firebase Hosting … Web アプリのホスティング(独自ドメインにも対応)
- Cloud Firestore … NoSQL データベース
- Cloud Function … サーバレス関数
- Cloud Storage for Firebase … ファイル管理
Web アプリから上記のような機能にアクセスするには、まずは FirebaseApp
インスタンスの設定(初期化)が必要になります。
以下では、Next.js アプリから各種 Firebase インスタンスにアクセスするところまでの準備を行います。
Firebase プロジェクトの作成
- Firebase コンソールにサインイン して、Firebase のプロジェクトを作成します。
プロジェクト名は、自分の Google アカウント内で一意の名前になっていれば OK です。
例えば、MyApp
のような名前を付けて作成してください。
Google アナリティクスは有効にしなくても OK です。
Firebase にウェブアプリを追加する
Firebase プロジェクトを作成したら、そのプロジェクトにクライアントアプリを登録します。 クライアントアプリというのは、ウェブアプリやモバイルアプリ、Unity アプリといった、ユーザーが使うアプリのことで、各アプリごとに情報を登録しておく必要があります。 ここでは、Next.js を使ったクライアントアプリから Firebase を使うことを想定しているので、「ウェブアプリ」として登録します。
- Firebase コンソール から対象のプロジェクトを選択します。
プロジェクトの概要
ページでアプリを追加
ボタンを押して、ウェブアプリ を選択します。- アプリ名を適当に入力して
アプリを登録
ボタンを押します。
ウェブアプリを作成すると、次のような接続用の JavaScript コードが表示されます。
これが Next.js アプリ内で FirebaseApp
インスタンスを生成するためのコードになります。
このコードはいつでも参照できるので、このタイミングで保存しておく必要はありません。
Next.js プロジェクトの作成と firebase パッケージのインストール
まだ Next.js プロジェクトを作成していなければ、create-next-app
コマンドを使ってサクッとプロジェクトの雛形を生成してしまいましょう。
次のように実行すると、カレントディレクトリに myapp
というディレクトリ(Next.js プロジェクト)が生成されます。
$ npx create-next-app myapp --typescript
次に、Next.js プロジェクトに firebase
パッケージをインストールします。
$ cd myapp
### npm の場合
$ npm install firebase
### yarn の場合
$ yarn add firebase
あとは、必要に応じて Prettier(コード整形ツール)の設定や、ESLint(静的解析)の設定などをしておきましょう。
Firebase 初期化コードの作成
Next.js アプリから Firebase にアクセスできるようにするため、FirebaseApp
インスタンスを初期化するモジュールを作成します。
下記コードはほぼ、Firebase プロジェクトにウェブアプリを追加したときに自動生成されたコードのままです。
上記のコード内には apiKey
プロパティの値がハードコードされていますが、これはいわゆる 秘密鍵ではない ので、GitHub などにそのままコミットして公開しても大丈夫です。
Firebase のクライアントアプリにおけるアクセス権限は、Firestore などのセキュリティルール の仕組みを使って、ユーザーの認証状態などに基づいて制御します。
一方で、管理用のアプリを作るための Firebase Admin SDK を使用する場合は、Firebase コンソール上で生成した秘密鍵を使って接続することになります。 こちらはもちろん Git にはコミットしてはいけないものなので混同しないようにしてください。
この初期化コードは、次のような感じでインポートすることで実行します。
初期化された FirebaseApp
インスタンスは Firebase ライブラリ内で保持されているため、いつでも getApp()
関数で参照できるようになります。
あとは、yarn dev
(npm run dev)
で Next.js 開発サーバーを起動して、http://localhost:3000/
にアクセスすれば、次のように FirebaseApp
インスタンスの情報が表示されるはずです。
* name = [DEFAULT]
* appId = 1:123456789012:web:ab47d539998fdf2c427784
* apiKey = AIzaSyCt1.....................VjbRJAicg
各種 Firebase サービスにアクセスする方法
Firebase の各種サービス用のインスタンスを取得するためには、専用のモジュールをインポートして、getXxx()
系のメソッドを呼び出します。
例えば、次のコードでは、Firebase Authentication を使うための Auth
インスタンスと、Cloud Firestore を使うための Firestore
インスタンスを取得しています。
import { getAuth, Auth } from 'firebase/auth'
import { getFirestore, Firestore } from 'firebase/firestore'
import '../utils/firebase/init' // Initialize FirebaseApp
// Firebase Authentication を使うコード
const auth: Auth = getAuth()
// Cloud Firestore を使うコード
const firestore: Firestore = getFirestore()
これらの getXxx()
系関数を呼び出す前に、utils/firebase/init.ts
をインポートして、FirebaseApp
インスタンスを初期化しておくことを忘れないでください。
initializeApp()
を実行する前に getXxx()
系関数を呼び出すと、次のようなエラーが発生します。
FirebaseError: Firebase: No Firebase App '[DEFAULT]' has been created
- call Firebase App.initializeApp() (app/no-app).
Next.js アプリで全面的に Firebase を使うのであれば、pages/_app.tsx
あたりで初期化してしまうのがよいかもしれません。
init.ts
の中で getFirestore()
などを呼び出して
Firestore
インスタンスを export
したくなるかもしれませんが、そのようにすると、init.ts
をインポートする全てのページのバンドルサイズが大きくなってしまいます。
init.ts
内の処理は FirebaseApp
インスタンスの初期化にとどめておき、必要に応じて getAuth()
や getFirestore()
を呼び出すことをお勧めします。関連記事
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