ジェームス・ウェブ・ヤングの『アイデアのつくり方』 とは別の本です。
こちらは、博報堂ケトルというクリエイティブ・エージェンシーで働いている嶋浩一郎さんがアイデアの生み出し方についてまとめた本です。
情報はまとめずに、手書きの手帳に書いていくのがよい、と主張されています。 情報は分類せずに放牧する、という表現も使っています。
情報は分類すると死んでしまう。情報を放牧するとアイデアが生まれる。 手帳ならページをめくりながら情報と情報を交配させていくことができる。 だから、情報は分類せずに、ぐちゃぐちゃに目の前に羅列しておく方がよい。
10 年前のメモを読み返したりもするので、丈夫なモールスキン(モレスキン)を使っているのだとか。 という私もなんだかんだ言って、10 年分以上の手帳はたまってたりします。。。
嶋さんはアイデアの作り方を 3 ステップにまとめています。
- 情報収集
- 放牧
- 化学変化
下記はそれぞれのステップのまとめです。
ステップ1: 情報収集
情報はとにかく集める!
- 本で読んだこと
- 人から聞いた話
- テレビやラジオで耳にしたこと
- レストランで隣のカップルが話していたこと
- 会議中の雑談
- 映画や街の風景
集める情報には 5 つの方向性がある
- 事実 (FACT) … あなたの知らなかった事実。
- 意見 (OPINION) … 新聞の投稿欄、会議、立ち話、他人の会話など、斬新な意見だと思ったネタ。
- 分析 (ANALYSIS) … 今まで見聞きしなかったユニークな分析。
- 示唆・疑問 … 意見や分析ほど定かではないが、何か示唆を感じさせる情報。「〜かもしれない」といった推測を含ませるもの。
- 表現 … これは使える!と思える文章表現や、たとえ、比喩、名言、格言、広告のキャッチコピー。
情報源を明記する
集める情報が 5 つのうちにどれに当たるのかはいちいち考えなくてもいい。 ただし、情報源はしっかり記録しておく。 最終的にその情報を使うときに検証するため。
情報は差別しない
情報には一流も三流もなく、すべて等価。 無差別に集めればよい。 芸能ゴシップ、考古学の発見、同人誌、どの情報も同様に扱ってよい。
二軍ノートを用意する
まず、第一ステップとして「二軍ノート」に時系列にどんどん書き込んでいく。 無駄だと思ってもとにかくメモしておく。
ステップ2: 放牧
3ヶ月前に書いたネタと、今日書いたネタ、まったく関係ない話が突然つながることが多々ある。 ステップ 1 で二軍ノートに書いたネタの中から、これは面白い、興味深いと思ったものをセレクトし、「一軍ノート」にデビューさせる。 このときも分類したりせず、順番に書いていくだけ。 単純にナンバーだけ振っておけばよい。
一軍ノートに書き写すときには 2 つのコツがある。
- すぐに書き写さず、二軍ノートの情報は 1 ヵ月くらい寝かせておく。1 ヵ月後にもう一度思い出してみる。
- 書き写すときに「おまけ情報」としてウィキペディアなどで調べた情報を付けておくと記憶に残りやすくなり、情報自体が楽しいものになる。
ステップ3: 化学変化
手帳のメモが化学変化を起こし、「雑談力」「プレゼン力」「企画力」となって現れてくる。 整理されていない情報があると落ち着かないかもしれないが、それは情報の交配のチャンスだと考える。 そのうちミスマッチ感を楽しめるようになる。 大事なことはカオスを楽しむこと。
この情報とこの情報はくっつかないだろうという思い込みや、既成概念を取っ払う。 そのトレーニングにより、全体を捉えるヒントが生まれる。
本棚の本を整理しないというのもよい。 読書はジャンルの違う本を 3、4 冊並行して読む。多読、速読は大事。