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人間には目が 2 つあるがゆえに錯覚が生じることがあります。 ビリヤードなどの繊細な狙いが必要になるスポーツでは、この錯覚が意外と大きな障壁になるというお話です。 この話を聞いてからビリヤードをすると、目に入ってくる映像が毎回気になってしまうようになるでしょう。 フフフフフ…

ビリヤードのスタンスは、キューを顎の真下にもってくる方法と、左右どちらかの目の下にもってくる方法の 2 パターンに分かれると思いますが、今回は顎の真下にキューを置いた場合の話です。

下の図はかなりデフォルメして描いていますが、手球(白)で的球(青)を真っすぐ狙い、両目の焦点を的球に合わせている状態を示しています(目が怖いな)。

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図: 焦点を的球(青)に合わせている

このとき、的球は 1 つに見えるのですが、手前の手球やキューはなんと二重に見えているんです。 これを簡単に体験するには、数メートル先を見つめながら目の前に指を持ってきてください。 指が二重に見えるはずです。 人間の目ってそうなってるんですね。

もっと具体的に描くと、素振り中に遠くの的球を見つめているとき、手球やキューは次のように二重に見えます。 逆に、手球に焦点をあてているときは、遠くの的球が二重に見える(キューは少し二重に見える)という状態になります(図は省略)。

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図: 焦点が的球にあるときキューはこう見える

右目に入ってくる映像ではキューが左側にあるように見え、左目に入ってくる映像ではキューが右側にあるように見えます。 つまり、このように構えたときにキューを真っ直ぐ的球に向けるには、2 本に見えるキューのラインを 2 等分する中央のラインを的球に向けないといけないんです。 気持ち悪いですね。 でもこれが事実なんです。 もし、左右どちらかの映像だけを頼りにキュー方向を的球に向けようとすれば、手球は思わぬ方向に飛んでいくことでしょう。

このような錯覚を嫌う人は、右目あるいは左目の下にキューを置いて、片方の目に入ってくる映像を頼りに狙いを定めます。 理屈としては明らかにこちらの方が真っすぐ見えますが、視覚のアンバランスさを嫌う人は多いかもしれません。 スヌーカー選手は顎の下にキューを置くのがセオリーっぽいですね。

そういえば昔、ビリヤードの神様エフレン・レイズが「ストロークでは一箇所を見るのではなくて、キューのラインや手玉が走るライン全体を見なければいけない」と言っていたことを思い出しました。 これまでの話のように、全体を一度にハッキリと見ることはできないはずですが、神様には何か見えているのかもしれません。

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