自転車大国のオランダで、シェア自転車の撤去が始まるようです。世界的にもシェアリングシティとして有名なオランダがこのような対応を迫られることになったという事実は、モノにあふれる世の中が今後どのような方向に向かっていくべきかのヒントになりそうです。
シェアリングエコノミーの発想としては、自分の占有時間が限られているモノをシェアすることで、時間、空間などを効率的に利用しようというものです。シェア自転車の場合は、自転車を共有して交通の混雑をなくそうという発想ですが、もともと自転車の保有率が高いオランダでは、シェア自転車が入ることで余計に街が混雑してしまったとか。
昔ながらの発想で、既存のモノをシェアするだけであればこういった事態にはならなかったでしょう。たとえば、隣の家に工具を借りるとか、ある作業を得意な人に手伝ってもらうとか、そういったシェアは世の中の人を幸せにするシェアです。
でも、今回のケースでは、すでに皆が自転車を持っているのに、営利目的の企業がさらにシェア自転車を追加で投入することによって街に自転車があふれてしまった。企業がシェア用のモノを投入するのであれば、既存のモノとどう共存させていくのかを含めて考えていく責任を負うべきです。シェア自転車であれば、既存の自転車を回収する代わりにシェア自転車を使用する権利を提供するとか、街中の自転車量をモニタリングして適切な量だけ展開していくとか、そういったことも含めて考えないといけません。
シェアリングという概念が今後広まっていくことは確実で、それは自然なことなのだろうと思っています。 人がモノを自分の近くに置いておきたいのは、「自分が時間的、距離的にすぐに使えるもの」を確保したいといった欲求からであって、インターネットによるコミュニケーションや物流が発展するに従い、モノを所有することの必要性は減っていきます。 所有物を減らすことでストレスから解放され、逆に安心感を得るというスタイルが広まってきているのもうなずけますし、自分もそうありたいと思うようになってきました(年を取ったのかな?)。
シェアリングビジネスを考えるときは、利益を上げることも大切だけど、シェアによって作り出される幸せな世界がどんなものかを第一に考えるようにしたいですね。