大きな組織で働いていると、ときには何百人もの人を対象に指示・お願いをしなければいけないことがあります。
そういったときに、皆に確実に動いてもらうためには、何らかのインセンティブを与えるのが効果的です。例えば、ある作業をお願いする場合、
7月7日までに必ず完了するようにしてください
と指示するだけでは多くの人に動いてもらうことはできません(3割くらいは動いてくれるかもしれません)。その後、進捗が思わしくないときには、次のような催促のメールを送りたくなるかもしれません。
期日までに終わらない場合は、定例ミーティングでその理由を報告してください
このような指示は、動いてくれなかった人に罰則を与えているだけで、もともと達成したかった「期日までに終わらせる」という本質的な目的からずれてしまっています。 もちろん、罰則やルールで縛ることによって、人はある程度動いてくれるようになります。 しかし、同じ組織の仲間たちに罰則を与え、作業を強制させるというやり方はあまり気持ちのよいものではありません。
こんなときは、作業を進めることによって、何らかのメリットを得られるというインセンティブを与えられないかを考慮するとよいです。 例えば、
先に作業を完了したメンバから優先的に ~ を利用して構いません
とか、
7月7日までに到着したデータは、こちらでまとめて登録します
など、作業を早く終わらせることによって得られるメリットをいっしょに提示してあげると、皆のモチベーションは確実に上がります。 いっしょに提示するメリットが思いつかないという場合は、私がいつも使っている裏技があります。それは、「罰則を反対向きに提示してインセンティブとする」という方法です。例えば、
登録が7月7日に間に合わなかった場合は、登録後に全メンバに内容を報告してください
という罰則がある場合、最初から次のようにお願いするのです。
登録後は全メンバに内容を報告してください。ただし、7月7日までに登録していただいた分に関しては、報告を免除します
この2つ、実はお願いしていることはまったく同じです。 でも、ちょっと視点を変えてお願いするだけで、人を動かせるかどうかが変わってきます。