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Apollo Client で GraphQL クエリを実行するときは、カスタムフックとして useQuery 関数の呼び出し部分を抽出すると、コンポーネント側のコードをシンプルにすることができます。

分離前のコード

次のサンプルコードでは、GraphQL クエリで GitHub のログインユーザー情報を取得して表示する Viewer コンポーネントを実装しています。 GraphQL のクエリ呼び出し部分や、取得したデータを ViewerData オブジェクトに詰める部分などが混在しており、あまり整理されているとは言えません。

components/Viewer.tsx
import { FC } from 'react'
import { gql, useQuery } from '@apollo/client'
import { LoadingComponent } from './LoadingComponent'
import styles from './Viewer.scss'

const QUERY_VIEWER = gql`
  query QueryViewer {
    viewer {
      login
      url
      avatarUrl
    }
  }
`

type ViewerData = {
  /** ログインID */
  login: string
  /** ホームページのURL */
  url: string
  /** アバター画像のURL */
  avatarUrl: string
}

/** 「ユーザー情報」を表示するコンポーネント */
export const Viewer: FC = () => {
  const {loading, error, data} = useQuery(QUERY_VIEWER)
  if (loading) return <LoadingComponent />
  const viewer: ViewerData = data.viewer

  return (
     <div className={styles.container}>
       <a href={viewer.url}><img src={viewer.avatarUrl}/></a>
     </div>
  )
}

こんなときは、カスタムフックを作成して、GraphQL クエリを実行する部分や、その結果を加工する部分などを分離するとコンポーネント側のコードがシンプルになります。

分離後のコード

下記の useViewer カスタムフックは、Apollo Client API の useQuery 呼び出し部分や、その戻り値のデータパース処理を実装しています。

☝️ カスタムフックとは 関数内部で useXxx 系のフック関数を呼び出すものをカスタムフックと呼びます。 カスタムフックは通常のフック関数と同様の制約を引き継ぐため、関数コンポーネント内では一定の順序で呼び出さないといけません。
hooks/useViewer.ts(カスタムフック)
import { gql, useQuery } from '@apollo/client'

export const QUERY_VIEWER = gql`
  query QueryViewer {
    viewer {
      login
      url
      avatarUrl
    }
  }
`

/** useViewer カスタムフックの戻り値の型 */
export type ViewerData = {
  /** ログインID */
  login: string
  /** ユーザーのホームページアドレス */
  url: string
  /** アバター画像のURL */
  avatarUrl: string
}

/** useQuery の戻り値 QueryResult の data プロパティの型 */
type Data = {
  viewer: ViewerData
}

/**
 * サインイン中の GitHub ユーザー情報を取得します。
 * ロード中やエラー時は undefined を返します。
 */
export function useViewer(): ViewerData | undefined {
  const { data } = useQuery<Data>(QUERY_VIEWER)
  return data?.viewer
}

ポイントは、useQuery の型パラメータとして Data 型を指定しているところです。 これにより、useQuery の戻り値の data プロパティの型が Data 型になります。

☝️ QueryResult インタフェース QueryResult インタフェースは、Apollo Client が定義している useQuery の戻り値の型です。 QueryResult オブジェクトの data プロパティは、デフォルトでは any 型ですが、QueryResult<ViewerData> のように型パラメータを指定すると、data プロパティを ViewerData 型として参照できるようになります。

この Data 型は、下記の GraphQL クエリに対応するプロパティを保持するよう定義する必要があります(この場合、Data 型は viewer プロパティを持つよう定義します)。

query QueryViewer {
  viewer {
    login
    url
    avatarUrl
  }
}

実際に useViewer カスタムフックを使う側が参照したいのは、この Data 型のデータではなく、そこに含まれている viewerViewerData オブジェクト)の方なので、res.data.viewer オブジェクトをリターンするようにしています。

下記は、このカスタムフックの使用例です。

components/Viewer.tsx(リファクタ後)
import { FC } from 'react'
import { LoadingComponent } from './LoadingComponent'
import { useViewer } from '../hooks/useViewer'
import styles from './Viewer.scss'


/** 「ユーザー情報」を表示するコンポーネント */
export const Viewer: FC = () => {
  const viewer = useViewer()
  if (!viewer) return <LoadingComponent />

  return (
    <div className={styles.container}>
      <a href={viewer.url}><img src={viewer.avatarUrl} /></a>
    </div>
  )
}

とてもシンプルですね! Viewer コンポーネントから GraphQL クエリの呼び出し部分などが取り除かれ、UI 表現に集中して実装できるようになりました。

useViewer フックは、データ取得前は undefined を返し、データ取得後に ViewerData オブジェクトを返すようにしているので、戻り値が undefined の場合は Loading 表示などを行えば OK です。

エラー情報やローディング状態を独立した変数で返して欲しいのであれば、カスタムフックの戻り値を次のように一段ラップすればよいです。

export type UseViewerOutput = {
  loading: boolean
  error?: ApolloError
  viewer?: ViewerData
}

export function useViewer(): UseViewerOutput {
  const { loading, error, data } = useQuery<Data>(QUERY_VIEWER)
  return { loading, error, viewer: data?.viewer }
}

(ただ、基本的にローディング中かどうかは viewer == undefined で判定できるので loading は必要ないはず)

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