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図: useLazyQuery による GraphQL クエリ実行

はじめに

Apollo Client の useQuery フックを使用すると、GraphQL を使って取得した情報を表示する React コンポーネントをシンプルに実装することができます。 useQuery フックによる GraphQL クエリは、React コンポーネントの表示時に実行されますが、代わりに useLazyQuery フックを使用すると、任意のタイミング、例えばボタンを押した時に GraphQL クエリを実行できるようになります。

前提として、Apollo Client の useQuery の基本的な使い方は下記の記事などで理解しているものとし、ここでは、useLazyQuery フックの使い方を説明します。

useQuery と useLazyQuery の違い

下記の抜粋コードは、useQuery 関数と useLazyQuery 関数の使い方の違いを表しています。

// const GET_ISSUES = gql`...`;

const {loading, error, data} = useQuery(GET_ISSUES);
const [getIssues, {loading, error, data}] = useLazyQuery(GET_ISSUES);

useQuery 関数は呼び出し直後に GraphQL クエリが実行され、その状態や結果が直ちに loadingerrordata といった戻り値に格納されます。 一方 useLazyQuery 関数の場合は、戻り値の最初の要素として、クエリ実行関数が返されます(上記の例では getIssues にしてるけど、変数名は executeQuery とか何でも OK)。 GraphQL クエリを実行するには、このクエリ実行関数を呼び出す必要があるので、例えば次のようにボタン要素の onClick で呼び出すようにしておきます。 あとは、useQuery 関数の使い方と同様です。

<button onClick={() => getIssues()}>Issue取得</button>

ちなみに、useLazyQuery 関数が返す値(loadingerrordata など)は次のように変化します(ここでは呼び出しが正常に終了したものとしているので、error の値は undefined で変化しません)。

クエリ実行前クエリ実行中結果取得後
loading = false
error = undefined
data = undefined
called = false
loadng = true
error = undefined
data = undefined
called = true
loading = false
error = undefined
data = 結果オブジェクト
called = true

called はまさに useLazyQuery 関数用の戻り値で、クエリ実行関数を呼び出した時点で true になります。 GraphQL クエリを実行する前と、実行した後で表示を切り替えたい場合に便利です。

useLazyQuery を使った実装例

下記は、Apollo Client の useLazyQuery 関数の使用例です。 表示された Issue 取得 ボタンを押すと、GraphQL クエリで GitHub リポジトリ (apollographql/apollo) の Issue 情報を取得して表示します。 ApolloProvider コンポーネントなどのセットアップは、上位のコンポーネントで行われているものとします。

import * as React from 'react';
import {ApolloError, gql, useLazyQuery} from '@apollo/client';

// 発行する GraphQL クエリ
const GET_ISSUES = gql`
  query {
    search(query: "repo:apollographql/apollo is:issue", type: ISSUE, last: 3) {
      issueCount
      nodes {
        ... on Issue { number title }
      }
    }
  }
`;

// RepoInfo コンポーネントの実装
export const RepoInfo: React.FC = () => {
  const [getIssues, {loading, error, data, called}] = useLazyQuery(GET_ISSUES);
  const issueList = called ? createIssueList(loading, error, data) : null;
  return <div>
    <button onClick={() => getIssues()}>Issue取得</button>
    {issueList}
  </div>;
};

// useLazyQuery の結果から表示内容を構築する
// (data の構造は GraphQL クエリに対応している)
function createIssueList(loading: boolean, error: ApolloError, data: any): React.ReactElement {
  // クエリ実行中の表示
  if (loading) return <p>Loading ...</p>;

  // エラー発生時(レスポンスがないとき)の表示
  if (error) return <p style={{color: 'red'}}>{error.message}</p>;

  // クエリの結果が返ってきたときの表示
  const {issueCount, nodes: issues} = data.search;
  return <>
    <h2>Num of issues: {issueCount}</h2>
    <ul>
      { issues.map(i => <li key={i.number}>{i.number} - {i.title}</li>) }
    </ul>
  </>;
}

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