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React の Router 系コンポーネント (BrowserRouter / HashRouter / MemoryRouter) を使用すると、論理的なパス管理によって React コンポーネントの表示の On/Off を切り替えることができます。 例えば、/users というパスでアクセスしたときには Users コンポーネントを表示し、/projects というパスでアクセスしたときには Projects コンポーネントを表示する、といったことを実現できます。

react-router-dom のインストール

Router 系のコンポーネントは react-router-dom モジュールで提供されているので、まずはこれをインストールします。 TypeScript を使用する場合は、型定義ファイルも一緒にインストールしておきます。

$ npm install --save react-router-dom
$ npm install --save-dev @types/react-router-dom

BrowserRouter による表示切り替え

/p/nfxds8n/img-001.png
図: Router による表示切り替え

次の App コンポーネントでは、BrowserRouter コンポーネントを使って、Page1Page2 コンポーネントの表示を切り替えます。 Router 系のコンポーネントには、Router というエイリアス名を付けるのが慣例なのでそれに従います。 Router コンポーネントの下には、表示切り替え用のリンク要素として Link コンポーネントを配置し、表示要素として Route コンポーネントを配置します。

components/App.tsx
import * as React from 'react'
import { BrowserRouter as Router, Link, Route } from 'react-router-dom'

// 子コンポーネントを適当に用意
const Page1: React.FC = () => <h1>Page1</h1>
const Page2: React.FC = () => <h1>Page2</h1>

// Appコンポーネント
export const App: React.FC = () => {
  return (
    <Router>
      <nav>
        [<Link to="/page1">Page1</Link>]
        [<Link to="/page2">Page2</Link>]
      </nav>
      <Route path="/page1"><Page1 /></Route>
      <Route path="/page2"><Page2 /></Route>
    </Router>
  )
}

あとは、この App コンポーネントを次のように表示します。

index.tsx
import * as React from 'react'
import * as ReactDOM from 'react-dom'
import { App } from './components/App'

ReactDOM.render(<App />, document.getElementById('root'))

Link コンポーネントとして表示された Page1 や Page2 リンクをクリックすると、Page1 や Page2 コンポーネントの内容が表示されます。

☝️ Uncaught DOMException: Failed to execute 'pushState' on 'History' BrowserRouter を動作させるには、Web サーバー上の HTML ファイルをブラウザで開いている必要があります。 ローカルの HTML ファイルを使って動作させたい場合は、BrowserRouter の代わりに HashRouterMemoryRouter を使用すると動作します。

component パラメータによる表示コンポーネントの指定

下記のサンプルコードでは、Route コンポーネント以下にネストする形で子コンポーネント(Page1Page2)を指定しています。

<Router>
  <Route path="/page1"><Page1 /></Route>
  <Route path="/page2"><Page2 /></Route>
</Router>

このように子コンポーネント指定が単純な場合は、次のように Routecomponent プロパティ を使って表示するコンポーネントを指定してしまうこともできます。

<Router>
  <Route path="/page1" component={Page1} />
  <Route path="/page2" component={Page2} />
</Router>

この書き方をすると入れ子が減ってスッキリしますが、細かいパラメータ指定がやりにくかったり、実はタイプ数が増えていたりするので、無理にこの書き方をする必要はないと思います。

パスが完全一致を必須とする (exact)

Route コンポーネントは、現在のパスと path プロパティの値が一致した場合に子コンポーネントを表示するものですが、この一致判断は、デフォルトでは前方一致 により行われます。

例えば、次のような Route コンポーネントが配置されているとします。

<Router>
  <Route path="/" component={Home} />
  <Route path="/page1" component={Page1} />
  <Route path="/page2" component={Page2} />
</Router>

このとき、現在のパスが /page1/xxx だとすると、Home コンポーネントと Page1 コンポーネントの両方が同時に表示されます。

現在のパス表示されるコンポーネント
/Home
/page1Home と Page1
/page1/xxxHome と Page1
/page2Home と Page2
/page2/xxxHome と Page2

パスの一致判断を、前方一致ではなく完全一致にするには、次のように exact プロパティを指定します。

<Router>
  <Route exact path="/" component={Home} />
  <Route exact path="/page1" component={Page1} />
  <Route path="/page2" component={Page2} />
</Router>

このように記述しておくと、HomePage コンポーネントに関しては、パスが完全一致したときのみ表示されるようになります。

現在のパス表示されるコンポーネント
/Home
/page1Page1
/page1/xxx
/page2Home と Page2
/page2/xxxPage2

排他的にコンポーネントを切り替えて表示する (Switch)

これまでの例で気付いたと思いますが、Router 以下に配置した Route コンポーネントは、排他的に切り替え表示されるものではなく、あくまで各々の Route コンポーネントが個別に表示の On/Off を判断するものです。 複数の Route コンポーネントのうち、いずれか 1 つのみを表示したい場合、つまり、ページ切り替えをしたい場合 は、次のように Switch コンポーネント 以下に Route を配置するようにします。

components/App.tsx
import * as React from 'react'
import { BrowserRouter as Router, Route, Switch } from 'react-router-dom'

const Home: React.FC = () => <h1>Home</h1>
const Page1: React.FC = () => <h1>Page1</h1>
const Page2: React.FC = () => <h1>Page2</h1>
const NotFound: React.FC = () => <h1>NotFound</h1>

export const App: React.FC = () => {
  return (
    <Router>
      <Switch>
        <Route path="/page1"><Page1 /></Route>
        <Route path="/page2"><Page2 /></Route>
        <Route path="/"><Home /></Route>
        <Route><NotFound /></Route>
      </Switch>
    </Router>
  )
}

Switch 以下に Route を配置すると、上から順番に見て、最初にパスが一致したもののみが表示されるようになります。 ルートパス (/) には必ず一致してしまうので、path="/" 指定されたものは他の Route よりも後ろに配置しなければいけない ことに注意してください。 もちろん、exact 指定をしている場合は先頭に配置することが可能です。

<Switch>
  <Route exact path="/"><Home /></Route>
  <Route path="/page1"><Page1 /></Route>
  <Route path="/page2"><Page2 /></Route>
  <Route><NotFound /></Route>
</Switch>

上記コードの最後の Route コンポーネントには path の指定がありませんが、このように記述すると、それより前に配置した Route のいずれにもパスが一致しなかった場合に、必ず表示されるようになります。 つまり、パスが不正な場合の Not Found ページ を表示する場合に使用できます。

現在のパス表示されるコンポーネント
/Home
/page1Page1
/page1/xxxPage1
/page2Page2
/page2/xxxPage2
/xxxNotFound

リダイレクト (Redirect)

Redirect コンポーネントを使用すると、ユーザーが特定のパスにアクセスしたときに、別のパスにリダイレクトすることができます。 例えば、ルートパス (/) にアクセスしたときに、デフォルトページとして /page1 にリダイレクトする、といったことが可能です。

// import { BrowserRouter as Router, Redirect, Route } from 'react-router-dom'

<Router>
  <Redirect exact from="/" to="/page1" />
  <Route path="/page1"><Page1 /></Route>
  <Route path="/page2"><Page2 /></Route>
</Router>

これは、次のようにルートパス (/) にアクセスしたときに表示するコンポーネントを、/page1 にアクセスした場合と同じにするのと似ていますが、同一の内容を表示するのであれば、リダイレクトを使うことをおすすめします。

よくない例
<Router>
  <Route exact path="/" component={Page1} />
  <Route path="/page1"><Page1 /></Route>
  <Route path="/page2"><Page2 /></Route>
</Router>

なぜなら、React 内部のパス情報が変更されないと、NavLink 要素の activeClassNameactiveStyle 属性が動作しないなどの問題が出るからです(NavLink については後述)。

次のように Switch と組み合わせて使用すると、どのパスにも一致しない場合にルートパス(Home ページ)に飛ばす、といったことが可能です。

// import { BrowserRouter as Router, Redirect, Route, Switch } from 'react-router-dom'

<Router>
  <Switch>
    <Route exact path="/"><Home /></Route>
    <Route path="/page1"><Page1 /></Route>
    <Route path="/page2"><Page2 /></Route>
    <Redirect to="/" />
  </Switch>
</Router>

これは、次のようにデフォルトルートを指定した場合と振る舞いは似ていますが、現在のパスがルート (/) に置き換わるかどうかの違いがあります。

<Router>
  <Switch>
    <Route path="/page1"><Page1 /></Route>
    <Route path="/page2"><Page2 /></Route>
    <Route><Home /></Route>
  </Switch>
</Router>

ルート・パラメーターを使用する(ディープリンク)

Route コンポーネントの path プロパティには、可変となるパラメーターを指定することができます。 パラメーター部分で表示する要素の ID などを渡すことで、いわゆる ディープリンク を実現することができます。 次の例では、TODO を表示するための ToDoPage コンポーネントのためのルーティング定義を行なっています。

<Router>
  <Switch>
    <Route path="/todos/:id" component={ToDoPage} />
    <Route path="/todos" component={ToDoPage} />
  </Switch>
</Router>

最初の Routepath には /todos/:id が指定されており、この :id の部分が可変のパラメーターになります。 Link コンポーネントなどで現在のパスが /todos/123 に切り替わると、ToDoPage コンポーネントに 123 という値が渡されます。

下記に具体的な実装例を示します。

/p/nfxds8n/img-params.png
components/App.tsx
import * as React from 'react'
import { BrowserRouter as Router, Link, Route, Switch } from 'react-router-dom'
import { ToDoPage } from './ToDoPage'

export const App: React.FC = () => {
  return (
    <Router>
      <nav>
        <Link to="/todos">ToDo (all)</Link><br />
        <Link to="/todos/123">ToDo (123)</Link>
      </nav>
      <Switch>
        <Route path="/todos/:id" component={ToDoPage} />
        <Route path="/todos" component={ToDoPage} />
      </Switch>
    </Router>
  )
}

関数コンポーネント (ToDoPage) の中では、useParams フック を使用することで、渡されたパラメーターを取り出すことができます。

components/ToDoPage.tsx
import * as React from 'react'
import { useParams } from 'react-router-dom'

export const ToDoPage: React.FC = () => {
  const { id } = useParams();
  return <h1>ToDo: {id || 'ALL'}</h1>
}

パラメータが省略された場合は、id の値は undefined になるので、その場合はすべての TODO を表示する、といった分岐処理が可能です。 上記の例では、単純に ALL と表示しています。

/p/nfxds8n/img-002.png
図: NavLink によるハイライト

React Router によるナビゲーション(現在のパスの変更)には、Link コンポーネントによるリンクを使いますが、この拡張コンポーネントとして、NavLink が用意されています。 NavLink を使ってナビゲーションを行うと、そのパスがアクティブ(対象の Route が表示されているとき)の CSS スタイルを指定することができます。 上記の表示例では、Page1 リンク (NavLink) をクリックしたときに、リンクの背景色を水色に設定しています。

アクティブな NavLink 用の CSS スタイルを直接指定するには activeStyle 属性を使い、CSS クラス名で指定する場合は activeClassName 属性を使います。 style 属性や className 属性で指定した CSS スタイルは、アクティブでないリンクとアクティブなリンクの両方に反映されます。

次のサンプルコードでは、activeStyle を使ってアクティブなリンクの背景色を設定しています。

components/App.tsx
import * as React from 'react'
import { BrowserRouter as Router, NavLink, Route } from 'react-router-dom'

const Page1: React.FC = () => <h1>Page1</h1>
const Page2: React.FC = () => <h1>Page2</h1>

// スタイル定義
const styles: {[key: string]: React.CSSProperties} = {
  link: {
    color: 'white',
    background: 'gray',
    marginRight: '0.2em',
    padding: '0.5em',
    textDecoration: 'none',
  },
  active: {
    background: '#5ad',
  }
}

// Appコンポーネント
export const App: React.FC = () => {
  return (
    <Router>
      <nav>
        <NavLink to="/page1" style={styles.link} activeStyle={styles.active}>
          Page1
        </NavLink>
        <NavLink to="/page2" style={styles.link} activeStyle={styles.active}>
          Page2
        </NavLink>
      </nav>
      <Route path="/page1" component={Page1} />
      <Route path="/page2" component={Page2} />
    </Router>
  )
}

次のサンプルコードもほぼ同様ですが、スタイルの直指定ではなく、activeClassName で CSS クラス名を指定しています。

components/App.tsx
import * as React from 'react'
import { BrowserRouter as Router, NavLink, Route } from 'react-router-dom'
import styles from './App.scss';  // CSS Modules

const Page1: React.FC = () => <h1>Page1</h1>
const Page2: React.FC = () => <h1>Page2</h1>

// Appコンポーネント
export const App: React.FC = () => {
  return (
    <Router>
      <nav>
        <NavLink to="/page1" className={styles.link} activeClassName={styles.active}>
          Page1
        </NavLink>
        <NavLink to="/page2" className={styles.link} activeClassName={styles.active}>
          Page2
        </NavLink>
      </nav>
      <Route path="/page1" component={Page1} />
      <Route path="/page2" component={Page2} />
    </Router>
  )
}

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