TypeScript の監視と JavaScript の監視の両立
tsc --watch
コマンドを使うと、TypeScript (.ts
) ファイルの変更を監視して自動的に tsc
(トランスパイル)を実行してくれるようになります。
nodemon
コマンドを使うと、JavaScript (.js
) ファイルの変更を監視して自動的に node
コマンドを再起動してくれるようになります。
これらを組みあわせれば、TypeScript (.ts
) ファイルの変更時に、自動的に Node.js アプリを再起動できそうな気がしますが、一連のコマンドとしてこれら 2 つを組み合わせて実行するのにはみんな苦労しているようです(もちろんコマンドシェルを 2 つ立ち上げればできますが)。
そこで便利なのが tsc-watch コマンド です。
tsc-watch パッケージでまるごと解決
tsc-watch
という NPM パッケージ(コマンド)を使用すると、TypeScript の変更監視と Node アプリの再起動の連動を簡単に行えるようになります。
まず、必要なパッケージを下記のようにインストールします。
nodemon
は使わなくて済むので、ここでは依存パッケージとして typescript
と tsc-watch
をインストールしておきます。
--save-dev
オプションを付加して、package.json
の devDependencies
に登録するのを忘れないようにしましょう。
tsc-watch
コマンドはほとんど tsc --watch
のラッパーなので、そのまま実行すると、TypeScript ファイルの変更を監視してトランスパイルを実行するという動作になります。
これだけの用途であれば tsc
コマンドで十分なのですが、tsc-watch
コマンドに追加されている --onSuccess
オプションを使うと、トランスパイル後に任意の追加コマンドを実行することができます。
この追加コマンドとして npm start
などを実行するように設定しておけば、TypeScript のトランスパイル後に Node.js アプリを起動するところまでを自動化することができます。
すでに Node.js アプリが起動している場合は、そのプロセスを終了してから立ち上げ直してくれるので、サーバー系の Node.js アプリを作成している場合も安心です。
下記の package.json
では、watch
という名前のスクリプトで tsc-watch
を実行するように設定しています。
TypeScript の設定ファイルである tsconfig.json
の内容も載せておきます。
ここでは、src
ディレクトリ内の .ts
ファイルをトランスパイルして、生成された .js
ファイルを build
ディレクトリに出力するようにしています。
あとは、npm run
コマンドで watch
スクリプトを実行すれば、TypeScript ファイルの変更監視&Node.jsアプリの自動再起動の仕組みが作動します。
説明は長くなりましたが、実際には packages.json
に script.watch
プロパティを追加するだけでよいので、とてもお手軽です。
(おまけ) tsc-watch は tsc のラッパー
下記のように、tsc-watch
のヘルプを表示してみると、その内容は tsc
コマンドのものに独自の拡張を加えたものになっていることがわかります。
なので、tsc
のオプションは tsc-watch
のオプションとしても使えるし、tsc
コマンドの設定ファイルである tsconfig.json
もそのまま使えます。