CppUnit-x のダウンロード&インストール
- Version:
- CppUnit-x 20020331
- Red Hat Linux 9
- SourceForge.JP: Project Info - CppUnit-x
- http://sourceforge.jp/projects/cppunit-x/
CppUnit-x は数多くある CppUnit の派生物の中でも移植性が高いといわれています。 2008-08-19 現在のバージョンは 20020331 です。 次のように CppUnit-x のアーカイブをダウンロードしてインストールします。
$ wget http://iij.dl.sourceforge.jp/cppunit-x/8452/cppunit-x-20020331.tar.gz
$ tar xzvf cppunit-x-20020331.tar.gz
$ cd cppunit-x-20020331
$ ./configure
$ make
$ su
# make install
これにより、以下のようなライブラリやヘッダファイルがインストールされます。
/usr/local/lib/libcppunit.a
/usr/local/include/cppunit/*.h
はじめての CppUnit-x
テストが 1 つだけの場合は、TestCase
のサブクラスで runTest()
メソッドをオーバーライドしてテストコードを実装します。
TestRunner
オブジェクトに TestCase
オブジェクトを追加して TestRunner::run()
でテストを実行できます。
TestRunner::run()
を呼び出すと、TestRunner
に登録された TestCase
の runTest()
が順に呼び出されます。
次の例のように、名前空間の使用宣言に、USING_NAMESPACE_CPPUNIT
というマクロを使用すると、名前空間をサポートしていないコンパイラを使った場合にもそのままコンパイルできるようになります。
任意のテストメソッドを実行するようにする (TEST_CALLER、TestCaller)
オーバーライドした TestCase::runTest()
ではなく、指定したテストメソッドを実行するには、TEST_CALLER
マクロを使用します。
class MathTest : public TestCase {
public:
MathTest() : TestCase("MathTest") {}
// runTest は実装せずに独自のテストメソッドを複数実装する
void testAdd() { ... }
void testSubtract() { ... }
void testMultiply() { ... }
};
int main(int argc, char **argv) {
TestRunner runner;
runner.addTest(new TEST_CALLER(MathTest, testAdd));
runner.addTest(new TEST_CALLER(MathTest, testSubtract));
runner.addTest(new TEST_CALLER(MathTest, testMultiply));
return runner.run(argc, argv);
}
上記のようにすると、MathTest::runTest()
ではなく、独自に定義した MathTest::testAdd()
、MathTest::testSubtract()
、MathTest::testMultiply()
が実行されるようになります。
解説
TestRunner::run()
を実行すると、あらかじめ TestRunner::addTest()
で登録しておいた Test
オブジェクトの run()
メソッドが順番に実行されていきます。
例えば、Test
のサブクラスである TestCase
クラスのインスタンスを登録しておくと、TestRunner::run()
は TestCase::run()
をひとつずつ呼び出していきます。
TestCase::run()
は最終的に純粋仮想関数である TestCase::runTest()
を呼び出す実装になっているので、ユーザはこの TestCase::runTest()
をオーバーライドすることによってテストコードを記述することができます。
TestSuite::run()
も、内部で TestCase::run()
を呼び出しているだけなので、最終的に TestCase::runTest()
が呼び出されることに違いはありません。
TestRunner::run() ==> TestCase::run() ==> TestCase::runTest() ※仮想関数
このように最終的に呼び出されるテストメソッドは TestCase::runTest()
という名前に固定されているのですが、TEST_CALLER
マクロ(TestCaller
クラス)を使用することで間接的に任意のテストメソッドを呼び出せるようになっています。
TEST_CALLER
マクロは TestCaller.h
に次のように定義されています。
#define TEST_CALLER(Fixture, method) \
CPPUNIT::TestCaller<Fixture>(#Fixture "::" #method, &Fixture::method)
例えば、
TEST_CALLER(MathTest, testAdd)
とすると、
CPPUNIT::TestCaller<MathTest>("MathTest::testAdd", &MathTest::testAdd);
のように展開されます。つまり、ひとつのテストメソッドを実行するために、それ専用の TestCaller
オブジェクトをひとつ作ることになります。
TestCaller
クラスの定義では、テンプレートによって Fixture
の位置に指定したクラスのサブクラス CallerImpl
が自動的に定義されるようになっています。
上記の例の場合は、MathTest
クラスのサブクラスが自動的に定義されます。
そして、TestCaller
オブジェクトは、その CallerImpl
オブジェクトをひとつ持ちます。
CallerImpl::runTest()
の実装は、TestCaller
で指定したメンバ関数を呼び出すようになっています。
つまり、ユーザが TEST_CALLER
マクロで指定したテストメソッドが呼び出されます。
下記のようにテストメソッドが呼び出されます。
TestRunner::run()
=> TestCaller<MathTest>::run()
=> MathTest::run()
=> CallerImpl::runTest()
=> TEST_CALLER マクロに指定したメソッド(MathTest::testAdd など)
複数のテストメソッドを一度に実行する (TestSuite)
複数のテストメソッドを一度に実行したい場合は、TestSuite
オブジェクトに複数の TestCase
を追加し、これを TestRunner
に追加して実行します。
以下の例では、テストクラスに TestSuite
オブジェクトを作成するための static メソッド suite()
を作成しています。
また、独自のテストメソッド(testAdd
など)を実行するために、TEST_CALLER
マクロでテストメソッドを指定しています。