D3.js は、クライアントサイド JavaScript で SVG 描画を行うためのライブラリです。
素の JavaScript(バニラ JavaScript) だけでも svg
要素を動的に構築していくことはできますが、D3.js を使うことでよりシンプルな API を使って描画処理を記述することができます。
ここでは、D3.js で基礎的な SVG 描画を行う方法を紹介します。
矩形を 1 つ追加する
D3.js で矩形を描画するには、d3.select()
で svg 要素を選択し(D3 セレクションオブジェクトを取得)、そこに append()
メソッドで rect
要素を追加します。
そして、メソッドチェーンさせる形で attr()
を呼び出し、rect
の属性(サイズや色)を設定していきます。
次の例では、svg 要素に緑色の矩形を 1 つ追加しています。
rect
要素の塗り潰し色は fill
属性で指定することに注意してください(CSS の “background” プロパティとは名前が異なります)。
<svg id="svg-wp3vzdr" width="200" height="100"></svg>
<script>
d3.select("#svg-wp3vzdr") // svg 要素を選択
.append("rect") // svg 内に rect 要素を追加
.attr("x", 10) // rect 要素の属性値を設定
.attr("y", 10)
.attr("width", 100)
.attr("height", 50)
.attr("fill", "green")
</script>
これは実質、次のような svg
要素を構成していることになります。
<svg id="mysvg" width="200" height="100">
<rect x="10" y="10" width="100" height="50" fill="green" />
</svg>
attr()
メソッド(あるいは style()
、classed()
など)のインデントを意図的に 1 段深くして記述します。
これは、どのセレクションオブジェクトに対しての操作かを明確にするためですが、JavaScript/TypeScript のフォーマッターがインデントを揃えてしまうことが多いので、あまり気にしない方がよいです。配列データをまとめてプロットする
配列に格納された複数の値をまとめてプロットするには、D3 セレクションオブジェクトの data()
メソッドに配列データをセットします。
これを「データ結合」といいます。
<svg id="svg-tdpqpgb" width="200" height="100"></svg>
<script>
const arr = [25, 50, 75]
d3.select("#svg-tdpqpgb")
.selectAll("rect")
.data(arr)
.join("rect")
.attr("x", (_d, i) => i * 60 + 20)
.attr("y", (d) => 100 - d)
.attr("width", 40)
.attr("height", (d) => d)
.attr("fill", "blue")
</script>
突然 selectAll()
メソッドを呼び出しているのが分かりにくいところですが、これは、あらかじめ作りたい要素を宣言しておいてからデータを結び付け、追加される各要素に対して属性を設定する、という D3.js 特有の記述方法なので慣れるしかありません。
.attr()
メソッドの第 2 引数では属性値を指定しますが、代わりにコールバック関数を指定することで、現在処理中のデータ(及び、そのインデックス)を参照して属性値を計算することができます。
.selectAll("rect")
… この次に指定するデータで複数のrect
を作るという宣言です。.data(arr)
… この配列データの情報をもとに各描画要素を生成します。.join("rect")
… 各データに対応するrect
を作ります。これ以降の処理(.attr()
など)では、各rect
ごとの属性値を設定していきます。ちなみにjoin()
はenter()
とappend("rect")
をまとめた記述方法です(詳しくは データ結合の記事 を参照)。
D3.js は要素の追加・更新・削除まわりの仕組みがとっつきにくいですね。 でも慣れてくると、複雑な描画処理をシンプルなコードで表現できることがわかってきて病みつきになります。 学習曲線がいきなりちょっと高いところから始まる感じです。