d3-zoom とは
D3.js に組み込まれている d3-zoom
モジュールは、下記のようなユーザー操作をハンドルためのモジュールです。
- マウスホイールによるズーム操作
- マウスドラッグによるパン操作
- タッチパネルのピンチイン、ピンチアウトによるズーム操作
- タッチパネルのスワイプによるパン操作
d3-zoom
によるイベントハンドリング処理は描画処理とは独立しているので、SVG や Canvas、スケール (d3-scale
)、軸 (d3-axis
) などと自在に組み合わせて使うことができます。
d3-zoom の簡単な使用例
実装例
下記の svg
画像の中で、ドラッグやホイール操作を行うと、矩形のズームや移動を行うことができます。
zoom オブジェクトの作成
d3-zoom
は次のような手順で使用します。
d3.zoom()
でズーム操作をハンドルする behavior オブジェクトを作成する(以下zoom
オブジェクトと呼びます)zoom
オブジェクトのon()
メソッドでイベントハンドラを設定する- 任意の D3 セレクションオブジェクトに対して
selection.call(zoom)
でイベントハンドラを適用する- 実質
zoom(selection)
を呼び出すの同じですが、メソッドチェーンに組み込むためにselection.call()
を使うことができます。
- 実質
上記手順をまとめてコード化すると次のような感じになります。
多くの場合、zoom()
関数の適用対象は svg
要素のセレクションオブジェクトです。
svg.call(d3.zoom().on("zoom", zoomed));
ズームイベントの処理
d3.zoom().on("zoom", zoomed)
のように登録されたイベントハンドラー zoomed
には、ユーザーのズーム/パン操作を表現するイベントオブジェクトが渡されて呼び出されます。
このイベントオブジェクトには、g
要素などに対してどのような transform
処理を行えばよいかの情報 (event.transform
) が含まれています。
つまり、基本的にはその内容に従って、g
要素などの transform
属性の値をアップデートしてやるだけで OK です。
function zoomed(event) {
topLayer.attr("transform", event.transform);
}
(応用)ズーム倍率やパン範囲を制限する
zoom
オブジェクトの下記のメソッドを使うことで、ズームやパンをどの程度まで許容するかを設定できます。
zoom.scaleExtent()
… ズーム倍率を制限するzoom.translateExtent()
… パン範囲を制限する
パン範囲 (translateExtent
) の方は、現在のズーム倍率などによって調整が必要で難しかったりするので、とりあえずズーム倍率 (scaleExtent
) の制限だけしておくのがよいかもしれません。
上記の例では、
svg
要素の wheel
イベントのデフォルト動作を抑制 (preventDefault()
) していることに注意してください。
これを入れておかないと、マウスホイールをズーム倍率範囲を超えて回転させたときに、ページ全体がスクロールしてしまいます。