まくろぐ
更新: / 作成:

25 年以上前に書かれた SF 短編小説集ですが、今読んでも面白いです。 『ファミ通』で 1 話ずつ掲載されていたものをまとめたものみたいですが、全く記憶にないですね(活字記事は見ていなかったのかも^^;)。 もっと昔に『デジタルな神様』という似た内容の小説も出ていますが、ゲームキッズシリーズ の中ではこれが最初の本でしょうか? 上のリンクは講談社・星海社からの復刊ですが、わたしが読んだのは幻冬舎文庫のふる〜い 1997 年初版の方なのでちょっと内容が違うのかもw

/p/whs4dnv/img-001.jpg
図: 1997 年初版の方

題材になっている AI や VR といった技術が、今では普通に実現されていたりします。 SF プロトタイピングといって、商品開発にも SF が取り入れられたりする昨今ですが、kozy さんのショートストーリーは、とっかかりとしてよさそうですね。

以下、超絶 ネタバレ注意 です。 各話のストーリーを自分のためにオチ入りでまとめてます。 短くするためにだいぶ脚色してるので、本物の文章は、本物の書籍を手に入れて楽しんでくださいね。

各話まとめ

  • 第1話「家族の絆」Family Computer
    • おもしろいゲームをやってみたんだ。これは『DNA シミュレーション』っていって、人間同士の掛け合わせで子供を作って育てていくゲームなんだ。実は本物の人間のデータを入れることもできて、どんな素質の子供が生まれるかがわかるんだ。パパとママのデータを入れてみたら、やっぱり僕は生まれつきダメな、平凡な男なんだよね。だから、いくら僕ががんばって勉強しても無駄なものは無駄なんだ。ゲームだったらリセットできるんだけどね。 ── うわぁ、ママ、急に何するんだよ。冗談はやめろよ。く、苦しいよ。
  • 第2話「起き抜けの悪夢」Daydream Believer
    • マシンで脳をリフレッシュするブレイン・ジムが流行になっていた。僕は近所にオープンしたジムに、ひやかし半分に立ち寄ったのだが、5 分だけの試体験であまりの気持ちよさに仰天してしまった。会員になりたかったが、その料金はあまりにも高かった。 ── 「大丈夫ですよ。ひとつ方法があります。よく考えてください。このマシンに入れば、あなたはいつまでも無限にエクスタシーを得られるのです。人生のすべての努力は “エクスタシー” という最終目標のためにあるのですよ。契約して、このマシンに入ってしまえば、あなたはもう何をする必要もなくなるのです」マネージャーは書類の束を出した。 ── そこまで思い出した僕は、焦げ臭い煙の匂いに気がついた。火事か何かでマシンが急停止してしまったらしい。立ちあがろうとして、僕はベッドから転げ落ちた。ない……。僕の両足がない。右腕もない。残った左腕に、札のようなものが貼り付けられていた。 ── “売約済”
  • 第3話「チャンネル戦争」Channel Good!
    • 多視点映像、ゲーム、映画、電話、いまやテレビのチャンネルはあふれかえっている。僕は必死にチャンネルを変えて、やっと目的のチャンネルに辿り着いた。僕は、フーと息をついた。画面には何も映っていない。この “オフタイム” は、静寂のための番組。視聴率 30 %を超える人気番組だ。テレビには OFF スイッチがなくなってしまっていた。
  • 第4話「ゴーグルライフ」See Through It
    • ゴーグラーをかけると、自分の見たものをすべてサーバーに保存しておくことができる。でも、そのシステムはハッカーたちの標的になっていた。今、僕は、近所の女子大生の視界に忍び込んだ。やがて、女子大生の部屋に中年男性がやってきて、2 人は外へ飛び出した。ある部屋のドアを蹴破り、中へ入る。「盗視の現行犯で逮捕する!」 ── 僕は、手錠をかけられるゴーグラーをした少年を見ていた。
  • 第5話「人間もどき」Behind The Mask
    • 皮膚を貼り付けて、どんな顔にでもなれる “トランス” 技術。宮沢りえの顔を持った彼女の顔を触ると、皮膚が剥がれ落ち、どろどろの醜い生物の顔が現れた。彼女は、ひとつ前に出た欠陥技術の被害者だった。彼女はそもそも男だったのか女だったのかすらも分からない。 ── 「ま、どっちでもいいか」アタシ、いや “オレ” はそう思った。
  • 第6話「高校教師」Teaching Machine
    • 小型のコンピューターや AI に自分の身体のようにアクセスできる今、教師の威厳はなくなり、テスト(試験)に価値が見いだせなくなっていた。身につけた機械は自分達のカラダの一部であり、テスト時にそれに頼ってもカンニングではないというのだ。われわれの学校の授業は、教育ロボットに置き換えられようとしている。そうなったら、私も含め、教師は皆クビというわけである。 ── 「……かくのごとき状況において、この教師の立場で、生徒の能力を正確かつフェアに判断する試験の方法を考えよ」 ── 僕は気が重くなった。また、浪人かなぁ……。
  • 第7話「机上の空論」Desk-Top-News
    • 昨日まで極悪非道として知られていた中東軍事国家の指導者が、今日のニュースでは柔和な紳士の顔に変わっている。新聞の一面を見ると、アメリカ大統領とその指導者が肩を抱き合っている写真にパッと入れ替わった。たったいま、国際情勢が大きく変わったのだ。 ── 親友から電話が入り、「おかしい、おかしい」と騒ぎ立てている。 ── その後、心配になって彼に電話をしようとしたら、スクリーンに連絡先が出てこない。“ソノナマエノ データハ ミアタリマセン” きっとそんな人はもともと存在しなかったのだ。
  • 第8話「コピー・ブレイク」Copy Break
    • これを読んでいるクローンの君へ。現在、記憶注入オペレーションの最中である。実際はほんの数時間の作業なのだが、君には何年もの歳月が流れているかのように感じられることだろう。このことを知らせるのは、君が目覚めたときのショックを和らげるためだ。さぁ、静かに目を上げたまえ。そこには見慣れた日常が戻ってきているはずだ。
  • 第9話「究極のビジネス」Death For Sale
    • 人工冬眠のビジネスを始めてみませんか? 冷凍された人間が、本当に将来生き返るのかが心配ですって? 大丈夫です。万が一、この技術に欠陥があっても、絶対にキャンセルも返品もないはずです。
    • (カリフォルニア州の アルコア延命財団 は、1960 年代から人工冬眠ビジネスを始めている)
  • 第10話「逃げろ!」Run
    • このペンダントは、超小型の気分コントロール・マシン。今、敵に襲われ追いかけられている俺は、<やる気>モードを最大にして、死に物狂いで逃げ続けた。そして、ついに振り切った。助かった……。 ── 「世界新記録だ!」コーチはそう言ってペンダントを外してくれた。42.195 km を走り始める前の記憶が蘇って来た。そのモードは、<恐ろしいものに追いかけられる幻想>モードにセッティングされていたはずだ。
  • 第11話「楽園」Inside Out
    • 人々は、放射能に汚染された地球から隔離されたこの巨大ドームの中でのみ生きていける。透明な壁の向こうから僕を見つめている奇形生物は、汚染されてしまった人の成れの果ての姿らしい。かわいそうに……。 ── 「お母さん、惑星動物園に行ってきたよ」「地球人って不気味よね。でも脱走の心配はないわよ。外に出るとすぐに死んじゃうって脅してあるから」
  • 第12話「トロイの木馬」I’m in You
    • 女房とうまくいっていないことを旧友に相談すると、マイクロ・ロボットによる殺人を提案された。スイッチを入れると、近くの人の鼻に入って、脳の血管を切断するという完全犯罪だ。 ── その夜、何度も目が覚めてしまった僕は、彼にもらったカプセルを取り出してみた。「あれ、カプセルは割れているし、中身はカラッポじゃないか。これは彼に一杯食わされたな!」アハハハ……。僕は頭が痛くなるほど笑った。まるで、頭の中を虫が這いずり回っているような痛みだった。そういえば、女房が僕に生命保険をかけたのはつい先週のことだったな。
  • 第13話「鏡」A.I.
    • 究極の “友人” を作ってみませんか? インチキくさいなぁと思いながら、私は、ついそのソフトを買ってしまった。私には親友がいなかった。 ── 「初期設定をスタートします。あなたの性別は?」「お、女です」 ── 質問は何時間も続き、ヘトヘトになってしまった頃、モニターには私とそっくりな女の子が現れていた。「あなたの話、聞かせてくれる?」 私はずっと喋り続けた。自分が、まわりからどんなに疎外されているかを。「嫌な奴らばかり!誰か私を遠くへ連れて行ってほしい!」 ── 「話、聞いてくれてありがとう。今日はもう寝るね」そのとき不思議なことが起こった。私が髪をかき上げると、彼女が同じように髪をかきあげたのだ。まるで、鏡に映った私のように。私は、自分が立ち上がることができなくなっていることに気がついた。 ── 「おやすみなさい」そう言ったのは私ではなく彼女だった。彼女が指を伸ばすと、プシュと電源が消された。暗闇が私を取り巻いた。
  • 第14話「究極のシミュレーション」Adult Only
    • 10 年間のひとりぼっちの宇宙旅行。それに志願したのは、付随しているこの究極の 3D アダルトソフトのためだった。その中では、リアルな理想の女の子を育てることができる。宇宙飛行士が 10 年間の孤独を耐えられるよう開発された特別なソフトなのだ。折り返しの 5 年が過ぎた頃、ついにそのときがやってきた。 ── 「やさしくしてね……」そう言うと彼女は動かなくなり、空中に文字が浮かび上がった。 ── <容量オーバーです>
  • 第15話「感じる映画」GAGA
    • 高画質な映像システムが家庭に広まっても、この体感型の映画は廃れなかった。このスプラッタ・ムービーでは、ゾンビに襲われ、痛みすら感じるが、耐え切れなくなって立ち上がった人が負けだ。 ── 次に出て来た殺人鬼は、我々がいる屋敷に火を放った。暑い、苦しい。これは頭に付けた体感ツールからの刺激ではない。劇場の温度を上げて、本当に煙を流すという演出なのだ。逃げ出したら負けだ。 ── 悪夢よ、早く覚めてくれ。
  • 第16話「爆弾人」Bomber Man
    • 最新宇宙論では、複数の可能性の宇宙が存在している。もし君が競馬に負けたら、頭を爆破してしまえばいい。なぜなら、レースに勝って生き延びている世界もあり、そこに君は必ず存在しているからだ。 ── ただし、“望みが叶わずに生き延びてしまう” 可能性宇宙も存在することをお忘れなく。
  • 第17話「聞こえますか」No No Noise
    • 僕たちは絶え間のない騒音の渦の中で生きている。あるとき、一瞬の静寂に包まれ、不思議な声を聞いた気がした。それは、ぼんやりしているときに限って、ふと耳の奥に聞こえてくる。 この音は幻聴なのか? 誰かが仕込んだサブリミナル・メッセージではないのか? ── 僕はそれを確かめるために、完全に音を遮断した空間に入ってみることにした。大きな鉄の金庫を注文したのだ。僕は体を縮めてその中に潜り込んだ。ガチャリ。不吉な音がした。……開かない!「助けてくれ!」 ── 耳の奥にずっと聞こえていたあの声の正体を、僕はついに知ったのだった。やがて君にも不思議な音が聞こえてくるはずだ。かすかな、僕の声が……。
    • ▼まくメモ … この話だけはオチがよくわかりませんでした。
  • 第18話「伝染性」The Game
    • この黒いフロッピー・ディスクにはゲームソフトが入っているが、某国の恐ろしいウィルスが仕込まれているらしい。それは、一度起動すると空気感染し、しかも人間にまで移ってしまうらしい。そう言われると、なおさらやりたくなり、僕はゲームを起動した。 ── 「おもしろい、おもしろすぎる!!」 ── ほどなくして、このゲームは日本中に広まり、全員が狂ったようにゲームをしている。子供は学校へ行かなくなり、大人は仕事をしなくなった。僕自身も朝から晩までこのゲームをプレイしている。他のすべてがばかばかしくなってしまうくらいに……。一体誰がこんなおもしろいゲームを “某国の陰謀” だなんて言ったのだろう?
  • 第19話「地図にない国」Out of Eden
    • クルマは完全に自動運転になり、僕は会社と自宅を行き来するだけの生活を続けていた。ある日、クルマが暴走し、気がつくと見知らぬ平原にいた。こんなところがあったのか。そういえば、あのデジタルマップの外には出たことがなかった。 ── 「おいっ!街のものだな!」 ── 僕は取り抑えられた。奴隷にでもされてしまうのだろうか… ── 目が覚めると、再び自分のクルマの中にいて、そこは会社の建物の前だった。助かった。奴隷にはされずに済んだみたいだ。
  • 第20話「進化した男」Newtype
    • 生物はウィルスに感染することで進化してきたとする『ウィルス進化説』がある。今、人類は新種のウィルスの “感染者” と “非感染者” に二分された。 ── 研究者「“感染者”、つまり新種が生き長らえる方法が分かりました。放射能を浴びることです。閣下、核のボタンを押してください」 ── 閣下「狂ってる!そんなことをしたら “非感染者” は絶滅する」 ── 研究者「もうあなたにも時間はないはずです。さっき握手したとき、少しちくりと感じたでしょう?」
  • 第21話「お気に召すまま」As You Like It
    • この会社の仕事部屋には、脳波を読み取り、全てをコントロールしてくれる最先端のファジーコンピューターが導入されている。徹底した合理主義により、能率を上げて社員数を最低限に抑えているのだ。 ── 上司「今からそちらへ行くよ」あの上司苦手なんだよなぁ。またくだらない自慢話と説教を始めるんだろう。 ── 上司「やぁ」僕「おはようございます」上司「君はクビだ。この会社は徹底した合理主義にあるのでね」
  • 第22話「クスリ」Poison
    • 『ブレイン・ダイナマイト』を飲むと、24 時間、記憶能力が 100 倍になる。 ── A 子「でも、ときどき大事な記憶がすっぽりなくなっちゃうこともあるらしいのよ ── 責任とってよね。あの夜のこと」 ── モテモテの彼を、あのパッとしない A 子が落としたと話題になっていた。A 子は、クスリと笑った。
  • 第23話「市長」Citizen
    • 少年時代の私は、街づくりシミュレーションゲームに没頭していた。今、本物の市長になった私は、莫大な予算をつぎ込み、この『都市開発シミュレーター』を完成させた。しかし、その政策はなぜかうまくいっていない。 ── 助役「市長、シミュレーターの不具合の原因がわかりました。ただひとつ入力されていないデータがあったんです ── あなたです」
  • 第24話「プラチナ・チケット」Take Me to The Stadium
    • このゴーグルを使えば、スポーツ選手が見たままの世界に入り込める。いつしか誰も、自分で身体を動かすリアル・スポーツをしなくなっていた。あるとき、僕はふと思った。この時代に本当にスポーツをしている人なんているのだろうか。もしかすると、この試合映像は…。本物を確かめるしかない! ── 1 万倍の倍率をクリアして手に入れた観戦チケットは「B席」だった。その席はスタジアムとは別の、映画館のような会場にあった。ここでゴーグルをかけて、スタジアムにいる人たちが見ている映像を楽しむのだ。 ── 「やはり、ホンモノの迫力は違うなぁ…」
  • 第25話「究極の小説」Novel-ty
    • コンピューターを駆使すれば、読む人によってストーリーが変わる小説を作ることができます。この文章も、「紙」ではなく、そんなデジタルでインタラクティブなメディアに変えるべきかと思うかもしれません。でも、僕には必要ないのです。「紙」によるインタラクティブ小説を発明したのです!さぁ、ご自由に組み合わせて無限のストーリーをお楽しみください! ── あ い う え お か き く け こ さ し す せ そ …
  • 第26話「遺産」Buried Alive
    • 2 年前に脳死状態になったおじいちゃんは、その工場、、、なんとか延命社で、私たちのために働いてくれている。血液や骨髄液、臓器などの供給者として生かされているのだ。子どもを定期的に “工場” 参りに行かせると、延命社は、貧乏な私たちに食糧を提供してくれた。私は自分の身体が弱り始めたのは、その頃からだと気が付いていた。それでもいいと、思っている。「私の “お墓” 参りにも、ちゃんと来てね」
  • 第27話「視線」Eye Scream!
    • 人々のまぶたにはアイ・トラッキング・チップが取り付けられ、街は人の視線に反応して動くようになり、また、人々はそれに依存して生活するようになっていた。 ── 不覚だった。角を曲がって来たトラックに僕は跳ね飛ばされてしまった。僕の “アイトラ” の電池が切れかかっていて、無人トラックが僕の視線を捉えてくれなかったのだ。 ── 「誰か、医者を呼んでくれ!」しかし、みんなまるで僕が見えないかのように無視している。アイトラに依存しすぎて、人の視線も存在も意識できなくなっているのだ。 ── 血まみれのまま何とか会社にたどり着いた僕は、雑談をしている友人の姿を見かけた。「さっきそこの横断歩道で事故があってね、トラックにはねられた人は即死だってよ」うわぁ!僕は叫びながら、思わず彼の肩にすがりついた。僕の手は、その肩をするりと、とおり抜けた。
    • ▼まくメモ … 僕はもう死んでる?
  • 第28話「ナイト・トラップ」Night Trap
    • 僕のマンションは会社からでもあらゆる遠隔操作ができるようになっている。「A 子はもう来たかな?」ピピッ。あーっ!!「まずい、B 子がいる!」このままだと 2 人がハチ合わせになってしまう。B 子がフロに入ったとき、僕は遠隔操作でバスルームの鍵を閉めた。 ── A 子「おフロのドアが開かないのよ」フロは故障中だということにして、A 子と僕は銭湯へ向かった。 ── 今夜は A 子をできるだけ早く追い返さないといけない。そして、B 子をなんとかしなくちゃ。フロの湯には十万ボルトの電流が流れていた。
  • 第29話「夢のまた夢」Jack in The Robot
    • 火星で鉱物資源の掘削作業をしていた僕は、金縛りにあったかのように体が動かなくなった。やがてやって来たロボットのビーム砲で僕はバラバラにされてしまった。撃ってきたのは僕のスペアロボットだった。 ── 僕らは火星の静止軌道上にいる宇宙ステーションから、自分達の分身となるロボットを操作していたのだ。作業ブースを出た僕は、迂闊にも運搬車両に足もとから巻き込まれてしまった。ガ、ガガガー。。。 ── 「クソッ」僕はゴーグルを外して床に投げ捨てた。そこは、暗い、じめじめした部屋。はるか宇宙の僕の分身は、今死んだ。
  • 第30話「ぷよぷよ」PuyoPuyo
    • 肘のあたりにできた突起物を切り離すと、どうやらそれは生きているみたいだ。引きこもりの僕はそいつに注射器で自分の血を分け与えるのが日課になった。ある日、新しい突起物から、もう 1 匹のぷよぷよした生物が生まれ、2 匹はくっついた。 ── 4 匹目が合体したとき、その肉塊はぷるぷると震え始めた。「きゃあああああ!」母親の叫び声。バシーン!!!その生き物は破裂した。あたり一面に血が飛び散った。 ── ふと気づくと、血の海のなかに母親が倒れていた。僕が右手で握りしめているものは注射器ではなかった。金属バットだった。

関連記事

まくろぐ
サイトマップまくへのメッセージ