何をするか?
Next.js アプリの API routes (pages/*.ts
) や、getServerSideProps
などのサーバーサイドで実行される関数では、通常の Node.js モジュールを使うことができるため、AWS の DynamoDB からデータを取得する、といったことも自由に行えます。
ここでは、Next.js の API routes 機能を使って、DynamoDB から情報を取得する Web API を作ってみます。
具体的には次のようなことをします。
- テスト用の DynamoDB テーブル (
Books
) を作成する Books
テーブルを参照するためのアクセスキー(IAM ユーザー)を作成する- Next.js の API routes の実装 (
pages/api/books.ts
) を行う- AWS SDK を使って DynamoDB から情報を取得する
/api/books/001
のような URL にアクセスすると JSON データを返す- アクセスキーは環境変数で設定する
AWS のアクセスキーは、IAM ユーザーに設定されるものであり、このアクセスキーが漏洩すると、そのユーザーの権限で何でもできる ということになります。 そのため、アクセスキーを使用するときは、IAM ユーザーの権限を適切に絞ることが大切で、そもそも本当に必要なケースでのみアクセスキーを使うようにすべきです。 アクセスキーが必要になるのは、AWS の外から AWS リソースに直接アクセスするケースです。 例えば、AWS CLI のコマンドで AWS の制御を行う場合や、今回の例のように AWS 外のサーバーから AWS へアクセスするようなケースです。
逆に、AWS 内の世界でのやりとりは、IAM ロールを使ってアクセス権を付けるのが常套手段です。 例えば、AWS App Runner 上で Next.js アプリを動かすのであれば、そこに IAM ロールを割り当てれれば、適切な AWS リソースに自由にアクセスできます(もちろん、サーバーサイドで実行される関数コードに限りますが)。 API Gateway (REST API) や AppSync (GraphQL API) に IAM ロールを割り当てれば、バックエンドの Lambda 関数に自由にアクセスできます。
DynamoDB のテーブルを作成する
ここでは、テスト用の DynamoDB テーブルとして Books
テーブルを作成します。
プライマリキーとして BookId
というパーティションキーだけを持つシンプルなテーブルです。
既存のテーブルがあればそちらを使っても構いません。
ここでは、AWS CLI を使ってサクッと作ってしまいますが、本格的なプロダクト用に作成するときは、CDK や Terraform などを使ってリソースの生成を自動化しましょう。 手作業でやるなら CLI よりも DynamoDB の マネージドコンソール を使った方が楽かもしれません。
テーブルができたら、適当にアイテムを追加しておきます。
最後に、アイテムが追加されているか確認しておきます。
IAM ユーザーとアクセスキーを作成する
AWS の各種サービスにアクセスするためのアクセスキーが欲しいときは、まず IAM ユーザーを作成して、その IAM ユーザー用にアクセスキーを生成する、という手順を踏みます。 このあたりは、サービス側でアクセスキーを作ることのできる Azure とは違って、ややとっつきにくいかもしれません。 そして、そのアクセスキーの権限は、IAM ユーザーに設定された権限と等しいものになります。
ここでは、AWS CLI を使って、IAM ユーザーの作成、アクセスキーの作成、権限の設定を行います(もちろん AWS コンソールを使っても OK です)。
DynamoDB の Books
テーブルにアクセスするための IAM ユーザーなので、ユーザー名は user-for-books
としておきます。
このユーザーには、AWS コンソールにサインインするためのパスワードは設定せず、本当にアクセスキーを提供するためだけのユーザーという扱いにします。
このとき、次のようなアクセスキー ID とシークレットアクセスキーが表示されるのでメモしておきます。
DynamoDB の Books
テーブルの読み取りアクセスを許可するためのインラインポリシーを IAM ユーザーに追加します。
Resource
のところで指定するテーブル ARN は、下記のコマンドで確認できます。
インラインポリシーがちゃんと設定されているかは、次のようなコマンドで確認できます。
Next.js に Web API を実装する
まず、Web API の実装コードから AWS のアクセスキーを参照できるように、環境変数を設定しておきます。
ここでは、プロジェクトのルートに次のような .env.local
ファイルを作成して環境変数を設定することにします。
このファイルは Git にはコミットしないように注意 してください。
Vercel などの環境にデプロイする場合は、Vercel サービス側の環境変数として設定してください。
DynamoDB のアクセスのために、AWS SDK ver.3 の DynamoDBClient
クラスを使うので、次のようにインストールしておきます。
下記は、DynamoDB の Books
テーブルからアイテムを 1 つ取得する fetchBook
関数の実装例です。
AWS のアクセスキーは環境変数から取得しています。
あとは、Web API 用のコードを、上記の関数を使って実装します。
これで、http://localhost:3000/api/books/001
などにアクセスすると、次のような JSON データが返ってくるようになります。
React コンポーネントの中から、この Web API を呼び出す部分は省略しますが、useSWR
フックを使うとお手軽に実装できます。
- 参考: Next.js で環境変数を扱う (.env, NEXT_PUBLIC, NODE_ENV)
- 参考: Next.js の API Routes 機能で Web API を作成する
- 参考: DynamoDB を Node.js で操作する(SDK ver.3 の場合)
- 参考: React フック: useSWR でデータフェッチ
後始末
上記で使ったひととおりの AWS リソースを削除しておきます。
IAM ユーザーの削除
アクセスキー用に作成した IAM ユーザー (user-for-books
) を削除します。
IAM ユーザーを削除するときは、先にそれに付随する情報(インラインポリシーやアクセスキーなど)を削除する必要があります。
DynamoDB テーブルの削除
DynamoDB の Books
テーブルを削除します。
こちらは、テーブルにアイテムが格納されていても問答無用で削除されてしまうので、気をつけて実行しないといけません。
これで、スッキリ、サッパリ!
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