まくろぐ
更新: / 作成:

若い時からソフトバンクの孫さんの右腕として働いていた三木さんの著書です。 「数値化」というタイトルなので、よくある KPI、KPI とうるさい内容なのかと思ったら全然そんなことはなく、本当に企業の生産性を上げられそうな考え方や方法がギュッと詰まった本でした。 長年培ってきた知識を一冊の本にまとめてくれたことに感謝です。

なぜ「数値化」すると生産性が劇的にアップするのか

問題が多すぎて、どこから手をつけていいかわからない → 数値化すれば、「どの問題から着手すればいいか」優先順位が明確になる

  • 例: コールセンターへのクレームを分類したら、2種類の問題が全体の80%を占めていた。

数値化しないと、立場が上の人や、声が大きい人の意見ばかりが通ってしまう → 数字が正しければ、どの立場の人も動かせる

  • 例: モデムのクレームを減らせば、コール発生率を5%から4%に減らます。1%減ると、毎月4000万円のコスト削減になります。

数値化の 7 つのコツ

(1) 数字は「与えられるもの」ではなく、自分で「取りにいくもの」

会社から与えられた数字で、自分の問題が解決しないなら、それは取るべき数値が間違っているということ。「自分の問題」を解決するには、本当に必要な数字を計測し、分析して、「数値」という道具に仕立て上げなくてはいけない。

(2) 数値化の目的は「どうだったか」ではなく「どうするか」

未来(=次のアクション)に繋がらない数値化には意味がない。

(3) 数値化のファーストステップは「分ける」こと。数える前にまず分けろ!

分け方の例

  • 「種類別」、「業界別」、「ジャンル別」に分ける
  • 始点と終点を決め、「プロセス」、「工程」で分ける

分け方にルールはないので、自分で決めればいい。 チームで問題解決に当たる場合は、メンバー全員でグループ分けの作業をするとよい。全員にポストイットに5枚ずつ「思いつく理由」を書いてもらってグループ分けしてみる。

(4) 問題のありかが見えてきたら、さらに細かく分けて計測

計測ポイントの例

  • 「1日」ごと
  • 「場所」ごと
  • 「人」ごと

迷ったら、とにかく手を動かしてみて、事実を見る。

(5) 数値化のゴールは、現実の問題を「数式で表す」こと

  • 「データ」それ自体は意味のない数字である。大事なのは、データを「構造化」して、情報やナレッジにすること。
    • 情報: データを整理し、解釈や意味を持たせたもの
    • ナレッジ: 情報を体系化し、まとめたもの
  • ビジネスの現象をモデル化することが重要。
  • 数式は必ず解くことができる。だから、数値化すれば、問題を解決することができる。
    • 例: 小売業の売上 = 1平方メートル当たりの売上 × 店舗面積 × 営業日数
    • 例: 営業部の売上 = 営業マン1人あたりの1日の売上 × 営業の人数 × 営業日数
    • 例: 1日にどれだけモデムを配れるか = 立地(通行料) × アルバイトの習熟度

(6) 数値化したら、あとはPDCAを高速で回し続ける

  • 実行した結果、得られる数値ほど正確なものはない。
  • 日本企業は失敗を恐れて、計画に時間をかけすぎる。
  • 実行 (Do) と計画 (Plan) は順序通りやる必要はなく、セットで迅速に回す。

(7) 問題解決後も数字でチェックを続け、環境変化にいち早く気づく

数字を日々チェックしていれば、「予測値と実測値が急にズレるようになった」ということが分かり、環境の変化に気づくことができる。

最も重要な「5つの数字」

  1. 顧客数
  2. 顧客単価
  3. 残存期間(顧客でいてくれる期間)
  4. 顧客獲得コスト
  5. 顧客維持コスト

営業利益は次のように計算することができる。

営業利益 = (顧客数 × 顧客単価 × 残存期間)−(顧客獲得コスト + 顧客維持コスト)

孫さん曰く、「牛のよだれのようなビジネスが一番いい」。 ライフタイムバリュー (LTV)、つまり、一人の顧客が一生のうちにもたらしてくれる価値や利益を重視せよということ。 ソニーの「リカーリングビジネス」は、まさにこれ。

関連記事

まくろぐ
サイトマップまくへのメッセージ